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平戸が見てきたイスラエル人の性格や特徴


イスラエル企業とのビジネスを考える上で、イスラエル人の気質(性格や特徴)も気になるところだろう。

私には世界のあちこちに知り合いがいるが、とりわけイスラエルで出会った人たちとは親友とも家族とも言える深い関係になっている。

十把一からげにイスラエル人を語るのは乱暴だが、付き合いの範囲から見えてきたイスラエル人の気質、価値感について紹介したい。

自立心が強く、時間の無駄は大嫌い

イスラエルは1948年に建国されたユダヤ教徒の国である。ユダヤ教徒にとってはようやく手に入れた自分の国だという背景からか、意欲的な性格の人が多い印象を受ける。

自立心が強く、日本のような押しつけ的な指導やマイクロマネジメントは合わない。私の見て来た限りではやり方などを押し付ければ押し付けるほど、また時間を拘束すればするほど、全てが崩れていく。

信頼をもって自律的な環境を整えることこそが、先進的な技術を生み出すために重要と言える。

また、教育水準は高く文化面でも発展しているが、いつ戦争が始まるかわからないという危機感が根底にある。そのためイスラエル人は時間の無駄を非常に嫌う傾向にある。

物事は即判断、見通しは半年程度の短いサイクルが常識だ。

シンプルでストレートなコミュニケーションを好む自由人

彼らはいわゆる一般的な日本人とは真逆のタイプで、シンプルかつストレートなコミュニケーションを好む。

わかりやすい例が会話だ。イスラエル人は率直な物言いで明確に意思表示するのに対し、日本人は曖昧さを残し、互いの立場を考えながら話を進めようとする。

その結果、イスラエル側からは「日本人は読めない。イエスと言ったりノーと言ったり、どっちつかずで嘘つきだ」と不満の声が上がり、日本側は「イスラエル人は約束を守らないし、秩序がなさすぎる」と不信感を募らせる。

互いの「当たり前」が違いすぎて、なかなか簡単には分かり合えない。いまでこそ「家族」と言える仲だが、最初の3,4ヶ月は互いの感覚の違いに疲弊するばかりだった。

アウトプットのないものを嫌う

前段の「シンプルかつストレート」にも関連するところであるが、イスラエル人には「無駄」を嫌うという特徴がある。

たとえば、とにかく目的のない打合せを好まない。知るための、あるいは報告のためのミーティングというのは極端に嫌う傾向にある。

また、活発に議論がなされないミーティングも好まれない。以前のブログで書いたとおり、動物園かと思うくらい、互いに言い合うのが、イスラエル流のミーティングスタイルである。

その場で徹底的に議論し、決め事を行い、すぐに実務に移すというのが一般的なやり方である。今後イスラエル人と交渉を行う方々は、ここには注意していただきたい。

世間は狭い。信用や評判がとても重要

私がイスラエル人の気質を理解し第二の家族と思えるようになったのも、イスラエルを訪れて1年半〜2年ほど経ってからだ。

最初から徹底してイスラエル人に寄り添い振る舞うことを心がけていたため、一定の信頼を得られていたとは思うが、バイバーの創業者たちと何十か国をともに旅をしたことが大きかった。半年ものあいだ毎日一緒に過ごし、公私ともに深く理解し合う機会に恵まれたのだ。

国土が小さく人口700~800万人のイスラエルは、国全体が村社会と言って良いだろう。

狭い世間では評判がものをいう。イスラエルハイテクと今後仕事を共にしたいと思っている日本企業はここは非常に気を付けた方がいい。

イスラエルのスタートアップの世界は非常に狭く、直接知らなくても、知り合いの知り合いに聞くとほぼ必ずレファレンスは取れる。それくらい横のつながりは強く、また狭いものである。

何を言おうとしているかというと、要するに悪評判が一度でも立つとその噂がスタートアップコミュニティーの中で瞬時に広がるのである。また、ユダヤ人コミュニティーの結束力は固いため、日本側がなんと弁解しようと、もう手遅れなのである。

わりと信用関係で成り立っているところは日本と同じであるため、理屈だけで通らないこともある。変に勘ぐったり警戒して探ったりしても、この狭いコミュニティーでは直ぐにオープンになってしまう。

私の場合はラッキーで、こういったことを知らずともバイバーの創業者達からの信用と噂でその先へと縁が広がり、イスラエル社会ヘ馴染むことができた。

家族を大事にする

彼らと親しくなってわかったのは、彼らが家族を大事にする、人情味溢れる優しい人たちだということだ。ユダヤ教の影響から金曜・土曜の安息日はきちんと休み、家族との時間を大切にしている。

ただ「優しい」と言っても、日本人とは優しさの表現方法やアプローチがまるで違うので誤解なきよう。彼らは空気を読んだりはしないし、控えめなアプローチなんてしない。

優しいけど日本人とはちょっと違う?〜タルモン氏とのエピソード

このブログにたびたび登場するが、バイバー創業者 タルモン氏は本当に面白い男である。

一緒にいて彼の優しさに触れる場面はたびたびあった。優しさなのか、はたまた男気と言うべきか……彼とのエピソードを聞けば、優しさのアプローチが違うという意味をなんとなく分かっていただけるだろう。

あるとき私は日本への帰国途中にトランジット先のタイで倒れてしまった。疲労が原因だったが、私が倒れたと聴いて真っ先に駆けつけようとしたのはタルモン氏だった(決して日本側の対応が冷たかったとかそういう話ではない)。

報せを受けた彼は、なんとすぐさまタイの病院に片っ端から電話をかけて私の搬送先を調べたようだ。まるで昭和の頑固オヤジである。

気持ちはありがたいが、おおごとにしたくなかった私は驚いた。「これからそっちに行く」と心配して息巻く彼をなだめ、大丈夫だから来なくていいと丁重に断ったものだ。

またあるときには、上層部からの依頼で困っている私を見て突然電話を代わり、上層部と話をつけたりもした。相手が誰であろうともお構いなし。「ノー!」と返事したかと思えば、電話を終えて「終わったよ。さあランチに行こう!」である。

なんとも強引で大胆なアプローチだが、これも彼の優しさによるものなのだ。

まとめ

日本人がイスラエル人と付き合うには価値観の違いやコミュニケーションのストレスなど、それなりに高い壁を越えなければならないと思う。互いを理解するのに時間もかかる。

しかし一度懐に入ることが出来たなら、その絆はそう簡単に切れない強いものになる。家族同然に振舞ってくれる彼らの情の深さは、少なくとも私にとってあたたかく居心地の良いものであった。

最後に面白いエピソードをひとつ。

これまでの記述から、日本で言う「根回し」は当然イスラエル人には理解できないものだと汲み取れると思うが、バイバー創業者のタルモンとはずっと行動を共にしていたため、私からも日本文化を教え込んできた。

2年ほど経った頃、とある案件で、”But we need to do Nemawashi”と言われ、ハッと思った事がある。

それは私がイスラエル人化してしまい、彼が日本人化している瞬間を見るものであった。要するに深い付き合いをすると、カルチャーの壁はなくなるものということである。

イスラエル人と付き合いたいと思う人にとって少しでも参考になれば幸いである。

以前登壇したパネルディスカッションでも、イスラエルのビジネスカルチャーやイスラエル人の気質に関して紹介したので、興味のある方はぜひ当日のレポートを御覧いただきたい(下記リンク)。


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