【生の声から読み解く】イスラエルスタートアップへの投資の現状
今日はイスラエルのスタートアップ投資の現状について、現地で聴いた生の声や実務で感じることを踏まえて伝えたいと思う。
今回イスラエルへ来て多くのVCや投資機関とも話し、最近イスラエルスタートアップへの投資がさらに活発になり、技術の市場が構築されつつあることがよく分かった。
調べた結果を簡単にまとめると以下のとおりである。
M&Aの本数が年々減っている(ただし1社当たりの買収額は増えている)。
よりアーリーステージへの投資が増えている。
シードステージからの囲い込みも始まりつつある。
米国大企業の投資エントリーや現地入りがかなり活発になっている。
インターネット事業やソフトウエア産業やサイバーセキュリティーにのみならず、自動車関連・フィンテック・ヘルスケアテックへの投資(しかも異業種からの)が活発である。
ここから読み取れるイスラエルスタートアップへの投資の現状は、以下の通りである。
米国大企業のオープンイノベーションニーズが、米国内からのベンチャー技術では事足りず、早いスピードでイスラエルへ向かってきている。
関心が高まるにつれ、企業価値(バリュエーション)が高まってきており、レートステージについては相当な金額になってきている。
多くの米国企業がすでに現地で活発に活動し始めており、スタートアップへの投資に対し、いち早くかつ安価にアクセスできるようになっている(競争の激化で、良いスタートアップへのアクセスは困難になってきている)。
シリーズAちょっと前から後くらいのスタートアップへの投資は大激戦区である。ここにアジア勢が食い込むのはなかなか難しくなってきている(より早いアクセスとコネクションがものをいうため)。
シリアルアントプレナー(連続起業家)にも米国系が早い段階で接触しているため、コネクションがないとつながらない。
テクノロジーと縁遠い業界や異業種からの投資が増え、投資の競合については業界や国境の垣根がなくなってきている。CVC(コーポレートベンチャーキャピタル)の担当者にとっては想定外の競合が出現し始めた状況である。
これらは直近の気づきのほんの一部だが、イスラエルのスタートアップへのアクセスの競争が激化しているのは事実である。現地で多くのスタートアップと話していて強く感じる。
しかし、すべてのスタートアップがアメリカとのつながりに固執しているわけでもない。日本を含んだアジアへ進出したい、進出する手掛かりを掴めるなら日本企業からの投資も受け入れてもいいというスタートアップは増えているのだ。実際、私のところへ寄せられる相談も増えつつある。
イスラエルスタートアップへの投資を考える人には、諦めずにとにかく現地に足を運んでいただきたい。コネクションをフルに活用して、粘り強く交渉することで好機を掴めるかもしれない。
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